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奈良の昭和遺産④「旧国鉄奈良駅舎(2代目駅舎)」(昭和9年竣工)

国際歴史観光都市・奈良にふさわしい寺院風デザインの駅舎。現在も活用中です。

旧国鉄奈良駅は、明治23年(1890年)12月27日に開業した大阪鉄道王寺駅~奈良駅路線の駅舎として誕生しました(明治40年に国有鉄道化)。その後、昭和9年(1934年)2月に奈良らしい寺院風のデザインに改築する工事が着工し、同年7月に屋根の上に相輪が立つ2代目駅舎が完成、祝賀式が行われました。

 

昭和の時代、多くの通勤客や観光客が乗降した奈良駅舎。昭和20年7月に空襲被害を受けたり、駅前広場で直径1mほどもある急須のモニュメントが目を引く「お茶の無料サービス」が振る舞われたり、安保反対デモの集会が行われたり、噴水が設けられたりするなど、奈良の玄関口の光景をその歴史に刻んできました。

 

昭和の奈良を見守った駅舎は、平成15年(2003年)からの路線高架化工事のため、移設されることになりました。移設の方法は、曳家工法。ジャッキで駅舎ごと持ち上げ、レールに乗せて移動するという、なんとも力のこもった方法がとられました。

 

こうして元あった位置から、北へ約30m移動して落ち着いた駅舎は、平成21年(2009年)から奈良市総合観光案内所として活用されることになり、また、人気のカフェ「スターバックス」もオープンして、国内外から古都を訪れる多くの観光客らをもてなしています。
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