• 観光

『大和名所図会』今昔めぐり ⑫秋篠里

江戸時代の作家・秋里籬島と絵師・竹原春朝斎が奈良を訪れ、183点の絵と紀行文をまとめ、寛政3年(1791年)に刊行した『大和名所図会』。奈良県内各地の風景や社寺境内の鳥瞰図、自然や旧跡、年中行事や名産・習俗・伝承などが掲載され、奈良の魅力が盛りだくさんに紹介されています。江戸時代の作家と絵師が見た奈良の名所風景をたどり、追体験を楽しめるスポットを紹介していきます。
【参考】『大日本名所図会 第1輯 第3編 大和名所図会』(大正8年)(国立国会図書館)

12.秋篠里(巻之三)(関連スポット:秋篠寺)

 

今回の名所図会の舞台は、西大寺の北側に位置する秋篠エリア。『新古今和歌集』に収められた西行の歌「秋篠や 外山の里や 時雨らむ 生駒の岳に 雲のかかれる」にあるように歌枕として知られ、また、平成2年に創設された宮家「秋篠宮」の由来地として当時話題になりました。

 

挿図に描かれているのは、民家の玄関先で砧(きぬた=布を叩いて柔らかくしたり、しわを伸ばしたりする道具)で衣を打つ3人の女性たち。布を柔らかくし、つやを出すための砧打ちの音は、今では聞かれない音ですが、江戸時代には秋の風物詩だったのでしょう。女性たちの仕事は日が暮れても続けられたようで、左上にはやや楕円をした月が浮かんでいます。

 

「ながき夜の生駒おろしや寒からむ 秋篠の里に衣打つなり」。生駒おろしの風が吹く夜の砧打ち作業の様子を詠んだ歌が絵中に添えられています。その歌の通り、秋篠の里から西を望むと生駒山が横たわります。「おろし」と呼ばれるほどの西寄りの風が吹くのか、実際に体感したことはありませんが、現在の秋篠町の北西、小高い位置から見ると、生駒の山が意外に大きく望めます。

 

現在の秋篠エリアは、田畑と住宅街が広がり、近鉄大和西大寺駅から秋篠寺までは徒歩約20分、奈良競輪場までは徒歩約17分というロケーションです。

 

秋篠寺の詳細はこちら
☆観光スポット