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◎会えるかもしれない!? 奈良の妖怪スポット5選

 古来、人は説明のつかない不思議な現象や疫病、災害を妖怪のしわざにしてきました。神道では災害などの人間に都合の悪い事象でも、そこに神を見いだし、祀ってきました。しかし、仏教伝来後は、仏教の考えに合わない不可思議な存在や現象はみな、妖怪とされるようになったそうです。

昔は、今のように一般庶民が科学的な物事に関わる機会がありませんでした。そのため、世の中で起きる大半のことは、“その現象がなぜ起きているのか”が分からない、不思議なことばかりだったのです。
分からないものは、怖い。だから、何かのせいにしてしまおう―。それで、妖怪が生み出されたというわけです。
また、妖怪は戒めの存在でもあります。人々を危険や災害から守るため(向こうには悪さをする妖怪がいるから行っちゃだめだよ…等)、あるいは、言うことを聞かない子どものしつけのため、妖怪に登場してもらう、といった具合です。
妖怪が見えるよという人も、何か得体の知れない“氣”を感じて、急にブルッと震える人もいるでしょう。奈良の妖怪は意外とあなたの近くにいるかもしれません。ほら、後ろに―。

 

【砂かけ婆/河合町】

神社の境内や鎮守の森などを歩いていると、バラバラと砂をかけられることがあります。砂を巻き上げるほどの強い風が吹いているわけでもなく、誰かが隠れていたずらをしているのでもありません。こういう現象は、砂かけ婆のしわざです。
砂かけ婆がいるとうわさされる河合町の廣瀬大社では、毎年2月11日に「砂かけ祭」が行われます。稲が無事に育ち、五穀豊穣を祈願する祭事で、砂を雨に見立てて掛け合います。

 

【がごぜ/奈良市】

昔々、奈良市の世界遺産・元興寺の鐘楼に現れて、人々を怖がらせる鬼がいました。そこへ、尾張国から雷の申し子である大力の童子が元興寺にやってきて、この鬼を退治した―という説話があります。
この話から、邪悪な鬼を退治する雷を神格化して、八雷神や元興神と称するようになり、鬼のような姿で表現されるようになりました。これは日本各地に伝わっていて、元興寺では、ガゴゼ、ガゴジなどと呼ばれています。

 

【しんぐりまくり/山添村】

山添村助命の八王子神社の長い石段には、夕方になると「しんぐりまくり」が出るという話があります。しんぐり(竹の魚かご)の中にいたずらっ子を捕まえて、石段の上から転がり落とすそうです。この地域では子どもがいたずらをすると、もういたずらをしないようにとの意を込めて、「しんぐりまくりが来るぞ」と怖がらせていたそうです。

 

【一本だたら/上北山村】

大きな一本足と口、ひとつ目という特徴がある妖怪です。奈良県内には各地に伝わっている妖怪ですが、伯母峰峠(上北山村)の一本だたらが有名なようです。伝承では、ある猟師が退治した巨大なイノシシが亡霊となり、一本だたらに生まれ変わったといいます。普段は悪さをしないように封じ込められている一本だたらですが、12月20日だけは封じ込めを解いて自由になれるらしく、「果ての二十日」として恐れられているそうです。
上北山村の道の駅では、一本だたらの木工品が、魔除けのお守り、お土産として販売されています。

 

【ジャンジャン火/天理市】

奈良に伝わる怪火のこと。昔、龍王山(天理市)に十市遠忠が城を築いたものの、信貴山城主の松永久秀に攻め落とされ、家臣らと運命をともにしました。彼らの恨みは成仏できないまま、火の玉になって山上付近に現れ、さまよっているそうです。この怪火が「じゃんじゃん」とうなりながら飛ぶことから、この名前が付けられました。

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